雪山・冬山登山の寝袋選びのポイント

  • 投稿日:2012年12月10日
  • 更新日:2015年12月23日
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雪山・冬山の登山は危険です。

そんなことは百も承知で、私は白銀の世界、凍りついた世界に仲間と共に足を踏み入れます。

 

積雪期の富士登山

2012年5月の富士山 アイゼンの刺さり具合を見ればわかりますが、早朝なのでカッチカチ!

 

日帰りならともかく、1泊テント泊や雪洞泊となると、もちろん氷点下の世界で寝ることになるので、十分な保温力を持った寝袋(シュラフ)とマットが必須です。

 

私の個人的な経験と知識を元に、雪山・冬山登山の寝袋選びでよくある質問をまとめてみました!

雪山、冬山は夏や秋とどう違うの?

夏山はともかく、3000m級の高山では春は残雪と氷点下の世界、秋でも晩秋は冬の始まりで氷点下の世界です。

氷点下の世界になると、とにかく寒いです。

厳冬期の冬山ともなると、-10℃以下が普通ですから、めちゃくちゃ寒いです。

しっかりとした防寒装備なしには、そこにとどまることができません。

 

積雪のある時期となると、防寒着含め、登山装備が違ってきます。

アイゼン、ピッケルといった装備や寝袋もごっさりとダウンの入ったものを用意することになるでしょう。

 

実は私も雪山登山を始めて気づいたのですが・・・お金かかります。

本格的な雪山登山でテント泊となると、夏の登山装備をそのまま雪山に使えないものもあります。

また、装備品も増えます。

ピッケル、アイゼン(クランポン)、サングラス、ゴーグル、バラクラバ(目出し帽)、保温材入り登山靴、魔法瓶、スコップ、カラビナ、ハーネス、ゾンデ棒(プローブ)、ビーコン、GPS、ヘルメット、冬用の寝袋、シュラフカバーなど夏山では使わない装備や必須でなかった装備が雪山では重要性が増してきます。

 

雪山登山テント泊の持ち物はこんなに多い!

 

 

当然、持ち物の重量も増えます。

私のザックは80リットルくらいで重量が約20kgになります。

ザック80リットルは重い!

 

求められる体力も上昇します。

 

よく、Q&Aサイトで、「夏山をたくさん行っている人が本格的な冬山に行けますか?」といった質問を見ますが、

個人的には「求められる技術や知識が異なるものが多く、基本別物と考えたほうが良いでしょう。」と思います。

 

総合的な難易度は

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積雪のある山(雪山・冬山) >>>> 無積雪の山(夏山など)

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とおもいます(^^)

 

3シーズン用の寝袋は使えないのか?

この質問も非常に多いです。

できるだけ今ある装備で雪山登山も・・・と考えるのはとても理解できますし、実は私もまだ装備がそろっていなかったころは

3シーズン用の寝袋を2つ重ねてしようしていました。

 

1枚では当然、保温力不足でヤバイですが、2枚重ねればそれなりにいけます。

 

ただ、この場合、

  • 重ねたときの寝袋の保温力がわからない
  • 何よりジッパー2個締めるのが大変
  • 3シーズン用の寝袋を2枚重ねると窮屈になる(外側の寝袋の大きさで内側の空間が決まるため)

という、大変使い勝手がわるかったことがわかりました。

 

そのため、私自身は2枚重ねすることがありません。(そもそも寝袋いっぱい持ってるし・・・)

予算に余裕があるのであれば、ちゃんとした冬用の寝袋を用意するのがいいでしょう(^^)

 

テント内でバーナーを使っていいの?

よくテント内でのバーナー(コンロ、ストーブとも言う)使用は危険なので良くないとあります。

 

それは本当で、テント内でバーナーを使うと、

  • バーナーの火がテントや周辺の物に引火し、火事になる
  • テント内の換気不足により一酸化中毒になる

といった事故が起こりえます。

 

そのため、テント内でバーナーを使わないのがベストです。

特に無積雪期であれば、テント外でバーナーを使うようにするのがよいと思います。

 

ただし、雪山となると・・・

 

IMGP4695.jpg

えっ?外でバーナー使う?うそでしょ!?

 

私は何度も雪山に足を運んでいますが、テントの外でバーナーを使って煮炊きしている人を1度もみたことがありません。

そして、私も仲間もすべてテント内でバーナーを使用します。

 

雪山テントの中

雪山でのテントの中を大公開! 真ん中の人のマットが犠牲になるのは毎度のこと。 靴下はバーナーの周りに置けば乾く。

上記のようなリスクがあっても、雪山はとにかく寒い!!!

バーナーの熱はテント内の温度を上げるため、氷点下の世界をあたたかく過ごすための熱源となります。

まさにストーブの役割を果たすわけです。

 

もちろん、テント内でのバーナー使用には細心の注意を払っています(^^)

雪洞内で鍋を囲む

雪洞(雪の洞窟)内の場合は換気に注意!

余談ですが、雪山での食事はほとんど鍋です。

大量の水分と調理の手間が少なく、体が温まる鍋は、雪山の食事のど定番です(^^)v

 

どの程度の保温力の寝袋が必要なのか?

雪山といっても、山の場所と時期と標高などの状況によって、最低気温が変わってきます。

日本国内の厳冬期(1月~2月)に2000m級の雪山でテント泊するのであれば、保温力が-20℃~-15℃くらいの保温力の寝袋が必要と思います。

 

残雪期のゴールデンウィークあたりの2000m級の春山ともなれば、最低気温が-数℃になるでしょう。

 

個人的な意見になりますが、雪山テント泊するのであれば、厳冬期でも対応できる保温力の寝袋がおすすめです。

 

大は小をかねるで、厳冬期対応の寝袋を1つもっていれば、積雪期の雪山はこれで全部行けます。

もちろん、春山にはオーバースペックで重いとかいう方もいますが、氷点下対応の登山用寝袋ははっきり言って安いものでも3万程度します。

厳冬期用と春山用の寝袋を2つ買うと、安いものでも7万程度かかるでしょう。

 

だったら、厳冬期登山に対応できる3~5万くらいの高級ダウン寝袋を1つもつのが経済的です(^^)v

 

実際に私が厳冬期用の寝袋を買った時のお話を書いてみようと思います。

(2012年当時の話なので、現在は商品のモデルが変わっています。そのため2015年冬モデルの同等品を紹介していおきます)

私が寝袋(シュラフ)を買うときに検討したのは

■イスカ(日本)

■モンベル(日本)

です(^^)

どれも、2000~3000m級の厳冬期登山の寒さに耐えうる保温力があります。

値段は同じメーカー内でも生地の違いやダウンの品質によって違います。

そして、なにより重要視したのが、どれもアウトドアショップで試着できるということ。

 

アウトドアショップに行っていろいろと入ってみましたよ!

あと、値段が高くて買えませんが、Valandre(フランス)の寝袋もICI登山本店で入りました(^^)

 

値段が2倍違いますが、全体的なつくりのよさは、Valandre(フランス)が良かったです。

これは当然予算オーバーなので、日本メーカーのものをひたすら検討しました。

 

最終的に価格と性能をどっちを取るかという選択になりました。

最後の最後まで、悩んだのが、極端な2つです。

ダウン寝袋の寿命はおよそ10年。

非常に長いです。

 

どうせ買うなら、いいものが欲しい!けど他にも必要な雪山装備が!と板ばさみ(^_^;)

パフ 810はまさにイスカ社の技術の結晶とも言うべきシュラフ。

生地にウィンドストッパーを使っていて、防風性と若干の防水性があります。(縫い目からはしみますが)

うーーーん、使ってみたい!でも、値段が(^_^;)

結局ウィンドストッパーを使っていても、別途ゴアテックスのシュラフカバーをつけるのであれば、リーズナブルなモンベルのスパイラルダウンハガー♯0でいいんじゃないか?という結論になり、これを買いました(^^)v

厳冬期用寝袋

私の冬山用の寝袋(モンベル スパイラルダウンハガー#0)とゴアテックスのシュラフカバー(もちろんワイド!)

(余談:あとスーパースパイラルとスパイラルの違いですが、シュラフカバー付けるなら、その大きさで伸びが制限されるので、どっちでもいいと思います。個人的には、少しでも軽くて値段の安いスパイラルで十分かとおもいます)

昨シーズンからこの寝袋を使っていますが、非常に快適な雪山ライフを過ごしています(^^)

谷川岳雪洞でシュラフで寝る

 2012/02/21 厳冬期谷川岳の雪洞(雪の洞窟)で寝る私。寒いので鼻と口しか出しません。シュラフカバー付けているので中の寝袋がわかりませんが。。。

 

シュラフカバーは必要なのか?

2泊以上のテント泊するなら必要だと思います。

1泊でも用意したほうがいいでしょう。

  • ダウンは濡らすと保温力が低下。しかも氷点下の世界で乾くわけない。
  • 雪山はテント内で過ごす時間が多く(外寒いから)、寝袋をぬらすリスク高い。
  • テント内のバーナー使用で凍った結露が液化し、マットが濡れる。当然その上の寝袋も濡れる。

私の山仲間でシュラフカバー使っていない人いますが、経済的理由です(^_^;)

雪山テントの中で寝る

たっぷりご飯食べて、お酒飲んでおやすみなさーい(^^)

みんな「シュラフカバーほしい!」と言っています。

雪山行くなら、シュラフカバーくらいは用意しましょう(^^)

 

⇒ シュラフカバーの選び方についてはこちらに詳しく書いています♪

 

マットはどれがいい?

基本的に発泡マット(クローズドセル)がおすすめです。

逆にエア系のマットはパンクのリスクがあり、やめたほうがいいです。

実際に私の山仲間2人が雪山でエアマットをパンクさせてしまい、酷い目にあってます。

エアマットはパンクすると、ただのナイロンシートになります(インフレータブルだとスポンジがあるけど)から、ほとんど断熱力がありません。

■友人Nさんのケース

厳冬期八ヶ岳で、テント泊中にエアマットが突然原因不明のパンク!!!

ザックやらなにやらある物すべて下に敷き、無事生還。

Nさんいわく、

「あまりの底冷えでやばかった。エアマットは危険だね。」

 

■友人Tさんのケース

厳冬期八ヶ岳で、テント泊中にエアマット(サーマレストのインフレータブル)の上でバーナーを使用していたところ、溶着していた生地が剥離しパンク!!!

ある物すべて底に敷き、なんとかやり過ごす。

Tさんいわく、

「雪山でエアマットはあぶねー!俺もリッジレストにするわ!」

 

という訳で、基本的に雪山はエアマットではなく、発砲マット(クローズドセル)を使いましょう。

IMGP0345a.jpg

八ヶ岳 赤岳鉱泉 テント泊

具体的な商品名を言うと、私も使っているTHERMAREST(サーマレスト) RidgeRest SOLite R(リッジレスト ソーライト レギュラーサイズ)がおすすめです(^_^)

厳冬期八ヶ岳で-14℃気温の中、雪の上に直接敷いて、星空眺めながら寝ましたが、ちょっと底冷えするなーと感じる程度の断熱力あります!(体感には個人差ありますが)

レギュラーサイズは182cmあるので、肩から足先までの長さに合わせてカッターで切ってもいいと思います。(貧乏性の私は切ってませんが。。。)

 

 

■雪山にエアマットが合う人

雪山にエアマット否定派の私ですが、ザックを背負って雪山の岩稜を歩く場合やアルパインクライミングする人は、ザックの引っ掛かりによる滑落のリスクを減らすために、コンパクトに収納できるエアマットが良いという人もいます。

冬の八ヶ岳の稜線

冬の八ヶ岳の赤岳~横岳縦走ルート。落ちたらたぶんあの世行き。

この登山する人は、上級者ですからすでに登山道具の知識も相当あるはず。

雪山で使えるエアマットはいろいろありますが、最近だとthermarest(サーマレスト) NeoAir XTherm ネオエアー Xサーモなんかが軽くてコンパクトで良さそうです(^_^)

 

最後に

基本的に雪山・冬山登山用の寝袋は同程度の保温力でも値段が高くなるにつれ、重量が軽くなり、収納サイズも小さくなります。

雪山装備は金属系の持ち物(ピッケル、アイゼンなど)を持ち運ぶため、特に1年に何度も行く方、今後何年も行く予定の方、女性は、できるだけ軽量化したいので、予算のある方はできるだけ軽量でコンパクトな寝袋を購入されると良いかもしれません

逆にまだ雪山始めたばかりでこれかな何度行くかわからない、学生で数百グラムの重量ぐらいは体力でなんなくカバーできる方は、3万円代の寝袋でも十分満足できると思います。

◎最上級モデルでおすすめの寝袋・シュラフ(軽量・コンパクト) ◎3万円代のお手ごろな寝袋・シュラフ(最上級モデルより約300gぐらい重くなる)

 

いろいろ書きましたが、危険ながらもその白く美しい世界を安全に楽しむために、しっかりと準備したいものですね(^_^)v

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厳冬期の谷川岳にて

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